G7伊勢志摩サミット報告 -4- サミットの成果と課題

06.14


今回のサミットの成果に対するNGOの総合的な評価は、G7NGOプラットフォームの最後の定例記者会見で発表された内容(下記リンク)をご参照ください。

責任あるサプライチェーンについては、5点満点中2点という採点となり、「昨年のエルマウ・サミットでは議題となったにも関わらず、今年は軽く扱われたことは問題。貿易の部分で一部言及されたのみで進展なし。一方、インフラの部分で、社会・環境でのセーフガードが言及されたことについては評価」という結果となりました。このイシューはSDGsにも関連が深く、エルマウ合意も引き続きフォローアップする必要がありますので、今後も継続的に関与していく必要があります。

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プレスリリース
「伊勢志摩サミット:「地に落ちた」G7へのNGOの期待 「持続可能な地球」へ、市民社会はここから立ち上がろう! =G7サミット「首脳宣言」への市民社会の評価=」

SDGs全般の結果については、以下の総括ができると思います。 

  • サミットの成果として、安倍総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」が内閣に設置されたことは、2030年に向けた日本の取り組みを進める上で大きな前進といえます。今後日本政府は「SDGs実施指針」を策定する予定になっており、途上国支援と日本国内の取り組みの両方において、実効性が高く、かつ具体的な国内目標を省庁横断的に策定していく必要があります。特に、「誰ひとり取り残さない」というSDGsの野心的な原則を実施に移すには、市民社会を含めた幅広いステークホルダーの積極的な関与が不可欠です。

    (出所:内閣ホームページ資料より)

    (出所:官邸ホームページ資料より)

  • 日本政府が今回、SDGs達成のための貢献策として発表したのは、①中東地域の安定化のための協力(今後3年間で約2万人の人材育成を含む総額約60億ドルの支援コミット等)、国際保健(グローバルファンド、Gavi、GHIT等への総額約11億ドル拠出コミット)、③女性の活躍推進(「女性の活躍推進のための開発戦略」発表、今後3年間で約5,000人の女性行政官等の人材育成、約5万人の女子の学習環境の改善)、という個別3分野でした。これらのコミットはいずれも重要課題ではありますが、17の目標と169のターゲットに対して、2030年までにどのような貢献を行うのか、その全体像が見えませんし、内容的にはMDGs(ミレニアム開発目標)時代からの看板の掛け替えに見えます。また、成果文書は既存イニシアティブの追認が多く、G7全体としてのSDGsへの新たなコミットが見られなかったことは、G7としての付加価値を打ち出す機会を逸したように思われます。

参考 首脳宣言:開発 持続可能な開発のための2030アジェンダ(抜粋)

  •  「我々は、全ての国々及びステークホルダーに対し、マルチステークホルダー・アプローチを確保するため、再活性化され、かつ強化されたグローバル・パートナーシップの下で、この共同の取組に携わることを強く求める」(首脳宣言和訳29ページ)
  •  「我々は、持続可能な経済への世界的な移行に実質的に貢献するため、野心的な国内の行動をとることを決意する。我々は、国内の行動に加え、ぜい弱なグループにおける個人の尊厳及び人間の安全保障の促進を特に強調しつつ、2030アジェンダを実施するための開発途上国の取組を支援することにコミットする」(首脳宣言和訳29ページ)

参考  G7首脳宣言へのリアクション_SDGs (PDF)
ニュースリリース「SDGs推進本部」(PDF)

<イベント案内>

2016年G7サミット市民社会プラットフォームでは、6月28日(火)にサミット報告会を開催しますので、ぜひご参加下さい。

「洞爺湖から伊勢志摩、そして2023年へ:G7 サミットNGO活動報告シンポジウム(6/28、東京)」

 

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