【開催報告】CSOネットワーク主催オンラインセミナー『中小企業におけるサステナブル経営と地域活性化について~地域・企業の課題への取組みから持続可能性を考える~』

03.01


2月17日(水)にCSOネットワーク主催オンラインセミナー『中小企業におけるサステナブル経営と地域活性化について~地域・企業の課題への取組みから持続可能性を考える~』を開催しました。

SDGs達成に向けた取り組みが各地で展開される中、地域の中小企業においても、多様性に配慮した雇用環境の整備や人材育成などの社会的責任、地域課題解決等の地域社会への貢献が、企業の持続可能性の向上やビジネスチャンスの拡大にとって不可欠な時代になってきています。本セミナーでは、SDGs推進のリーダーのお一人である金沢工業大学 SDGs推進センター長の平本督太郎先生より、中小企業におけるSDGsと経営の融合において必要な視点やステップについて、お話を伺ったほか、CSOネットワークの中小企業を対象にした事業の中でもさまざまな連携をさせていただいている、サステナブル経営に取り組む2つの中小企業の経営者より、各社の取り組みについて、ご発表をいただき、自社そして地域の持続可能性を向上させるために何ができるのかについて議論しました。

基調講演「中小企業のSDGs経営」金沢工業大学 平本督太郎先生

平本先生には、「中小企業のSDGs経営」と題し、専門家のお立場から事例も交えつつお話いただきました。まず、中小企業がSDGsを経営に融合させる際には、ニーズ・やる気・シーズを深堀りし、社会の中での自社の立ち位置を広い視野から認知する必要があることを解説いただきました。また、最初のステップとして、象徴的な事業(社会的意義の分かりやすい事業)と全員経営を推進し、SDGsの本質と言える「自由と幸せ」を全従業員が感じられる経営を目指すことが挙げられました。これらを上手く取り入れ循環させていくことで、SDGs経営が実践され、変化に強い企業へと成長できるという見解をご発表いただきました。

中小企業経営者による事例発表① 徳永陶磁器株式会社 代表取締役社長 徳永隆信

徳永様には、有田焼の窯元「幸楽窯」を営む中でのユニークな取り組み事例や経営者としての想いをご発表いただきました。5世代にわたる歴史を通じ、常に社会に沿う経営を模索した結果、気付けばSDGsにつながる取り組みを行っていたといいます。具体例として、SDGs5に関連する子育て中の女性の遠隔雇用や、SDGs12に関連する余剰した在庫に再び光を当てる「トレジャーハンティング」の取組みをご紹介いただきました。外国人従業員の意見なども柔軟に取り入れ、笑顔を届けるものづくりを重視されるなど、それぞれの取組みの中で、人に重きを置いておられることについてもお話いただきました。今後のマーケティングの在り方には、「理念・価値の共有」を重視されていらっしゃるそうです。さまざまな動画や写真も活用していただき、SDGs経営を実践する中小企業経営者のリアルな姿をお話しいただきました。(徳永陶磁器株式会社様の取組みについては、CSOネットワークのこちらのウェブページでもご紹介しています。)

中小企業経営者による事例発表② 株式会社Green prop 代表取締役 川添克子氏

川添様には、「Green PropのCSR経営」と題し、先代からの事業継承からCSR経営にいたるまでの経緯、その中での気づきなどをご発表いただきました。静脈産業である産業廃棄物処理から事業をスタートした同社は、自らが停止すると社会が回らないという社会的責任の大きさに気づき、自社、さらには協力会社のサステナビリティ向上に取り組んで来られました。サステナビリティ向上のために取り組んでいることとして、自社の提供価値を理解し実行してくこと、情報公開を積極的に行うことを挙げていただきました。実践の中での気づきである「経営とCSRは両輪でないと進まない」という考え、また、熱量を持つことが何より大切であるというメッセージはいずれも大変説得力のあるものでした。

 

本セミナーの冒頭では、CSOネットワークが現在取り組んでいる「地域に密着した中小企業の持続可能性向上」事業に関する紹介を行ったほか、今年度実施した海外の中小企業サポートプログラムに係る文献調査(調査報告書をCSOネットワークのこちらのウェブページで公開)の報告も行いました。

今回のセミナーには、全国各地から、50名を超えるさまざまな立場の方にご参加をいただきました。セミナー終了後の参加者アンケートからは、「ご報告くださった方々の報告をもっと聞きたかった。もう少し時間があるとよかった。」「企業経営者の立場でのお話は参考になった。」という声が多数聞かれました。

CSOネットワークでは、今回のセミナーからの学びを、現在開発に取り組んでいる中小企業向けの持続可能性応援プログラムに活かすとともに、引き続き、さまざまな立場の方と中小企業そして地域の持続可能性を向上させるために何ができるのかを共に考える場づくりを行っていきたいと考えています。

 

 

本事業は、独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施しています。

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