CSOネットワークは、2023年11月15日付で「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針改定案」 に対し、以下、10項目の意見を提出しました。
「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針改定案」および、パブリックコメント募集要項については、こちらのページをご参照ください。
「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針改定案」 に対する意見提出 一般財団法人CSOネットワーク
①「現在の状況(1)SDGsの浸透」の箇所
SDGsの各主体の取組みには進展が見られるものの、いまだ表層的にとどまり、「誰一人取り残さない」との理念を実現した取組みには至っていないものも多く見られる。そこでSDGsの実施に「ビジネスと人権に関する指導原則」を組み込み、SDGsの根底にある人権尊重を明確にすることが重要と考える。
②「現在の状況(2)直面する課題」の箇所
「直面する課題」の認識のための情報については従来のものだけでは不十分であり、⑤で記載したような指標による測定による課題の認識が必要である。
③「実施に当たっての指針(1)①持続可能な経済・社会システムの構築」の箇所
「全ての人々にとってのディーセント・ワークを促進し」との記載があるが、それを実現する方法として、公共調達における労働・人権の尊重を政府が率先して行うことを明記してはどうか(本年4月に内閣官房より同種の方針も出されている。)
④「実施に当たっての指針(1)②「誰一人取残さない」包摂社会実現」の箇所
重点事項の一つとして、「ビジネスと人権に関する指導原則」への取組を追加し、SDGsの取組みと連動していくことが求められる。理由は①に述べたとおりである。
⑤「実施に当たっての指針(2)実施に当たっての取組 ①実施体制の強化・ステークホルダー間の連携」の箇所
- 現在の内容に加えて、「ビジネスと人権」に関わる国家の取組と連携した取組の促進が求められる。
- 実施指針に基づく取組の進捗状況を測るために、アウトプットのみならず、アウトカムおよびインパクトを考慮した指標の設定が必要である。それによって、「直面する課題」の認識の理解と今後に向けての取組を確実にしていくものと考えられる。
⑥別紙「(3)市民社会」の箇所
ステークホルダーの呼称としては、「市民社会組織」とすべきではないか。(5)の公共的な活動を担う民間主体との棲み分けとして、(3)市民社会組織を公益的色彩の強いものとし、(5)は共益的活動を担う組織としてはどうか。
⑦別紙「(3)市民社会」の箇所
市民社会組織の役割として、取り残されがちな人の声を社会に届ける点にフォーカスしているが、同時に、本指針の原則③の参画型(ステークホルダー等の参画)の社会に向けた、人々の参画を促進する役割も重要と考える。具体的には、例えば、この節の最後の文章に以下のように参加の内容を盛り込むことが考えられる。「市民社会には、国内外・各地域の人々の参画を促し、その人々との連帯により、一人ひとりの行動変容と変革の旗振り役となることが期待されている。」
⑧別紙「(3)市民社会」の箇所
国内外・地域の主体との連帯についての記載があるが、「国・地方自治体や企業との連携が必要である」ことを加えるべきである。市民社会の連帯のみでは「誰一人取り残さない」社会の実現は不可能だからである。
⑨別紙「(1)市民社会」の箇所
国際社会からの各企業の信頼を高めるためには企業により信頼できる情報開示が必要であることを明記する必要がある。
⑩別紙「(4)消費者」の箇所
消費者の選択という行動を実現するためには、事業者の持続可能な生産とそれに関わる情報開示が不可欠であることを明記する必要がある。