地域密着中小企業事例3

若い人を育て、地域における地元建設業の役割を果たす

株式会社大島組

http://www.oshima-gumi.co.jp/

明治42年(1909年)に土木請負業として創業した株式会社大島組は、時代のニーズに合わせた柔軟な事業経営の中で事業継承を重ねてきた。地域社会との関わりを重視し、地元の高校生に地元の建設業の役割を語る代表取締役社長の大島弘三氏にお話を伺った。

ヒアリングから見えてきた気づき

地域に密着した中小企業の持続可能性向上に繋がる取り組みのポイント・必要とされるサポート

・地元の高校生に地元企業で働く意義を伝える機会があることで、株式会社大島組の採用への効果だけでなく、自社に就職しないその他の高校生へも影響があるのではないか。「地域貢献・社会貢献」で就職ピーアールをされているのは素晴らしい。ミレニアル世代にはきちんと響いている。

・鳥栖という鉄道、高速道路ともに九州の起点となる土地にある株式会社大島組ならではの地域社会への貢献、関わりがあり、事業経営もサステナブルなものになっているのではと考えられる。

SDGsとの連関

従業員の家族を対象とした制度、女性の積極的な雇用、地元建設業として取り組む環境配慮や地域貢献に関する活動を含む株式会社大島組の事業はSDGsのゴール4、5、8、9、13、17などの達成に貢献する取り組みである。

若い人を育て、地域における地元建設業の役割を果たす
 株式会社大島組

◆創業からこれまで
創業110年

明治42年6月(1909年)に「大島組」として土木請負業を創業して今年で110年となる株式会社大島組は、現代表取締役社長の大島弘三氏が第5代目となる老舗企業だ。現在の事業内容は土木・建築・道路舗装工事の施工・管理・監督のほか、不動産に関しては土地探しから実施する。鳥栖・佐賀エリアをメインとし、九州圏内で事業を展開している。

事業継承時、大島氏は40歳。大学卒業後、東京の建設会社に建築現場で主任、監督として4年ほど勤める。仕事が面白くなってきたころでもあり、もう少し続けたかったと言うが、先代に呼び戻され、大島組でも現場主任、監督から経験を重ね事業を継承した。

◆従業員に対する取り組み
若い人に育って欲しい

現在、従業員は50名おり、男性45名、女性5名という構成。工事現場部門でも少しずつではあるが女性が増えてきており、同社でも建築技術者として女性を採用している。現場でもてきぱきとしており、女性の能力を実感しているという。現場での学びが一番の力になるとして、協力会社の皆さまのサポートを受け、一人前に育てている。現在、障がい者の雇用は1名。土木コンサルの経験と知識を活かし、デスクワークを中心に活躍してもらっている。

また、10年以上前より従業員の家族へ向けた制度として、若い人に育って欲しいという思いから、子育て世代の応援を目的とした「育英手当」を設置しており、従業員の子どもの年齢に応じ、高校生3万円、大学生5万円を支給している。

◆環境に対する取り組み
地球温暖化による暑さ対策に取り組む

地球温暖化による暑さ対策として、れんが積みの家や折板屋根向け遮熱断熱工法のルーフシェード等の省エネ・環境関連の事業にも積極的に取り組んでいる。廃棄物処理に関しては「受注工事については、元請が主であり、排出事業者責任は自社にある。しっかりやらなければいけない。」と大島氏は語る。平成13年には、ISO9001(品質管理・品質保証システム)認証を取得し、平成22年にはエコアクション21認証を取得しており、さまざまな活動のマネジメントシステムが定着しつつある。

◆地域・社会に対する取り組み
地元建設業で働く意義

従業員のうちおよそ25名は地元の鳥栖工業高校の出身者だ。近年は毎年同校から3~4名が入社している。同校生徒向けの学校内会社説明会には大島氏自らが参加し、学生へ向けて話す。その内容は、建設業の地域での役目についてだ。大島組では、毎年のように地域で発生する豪雨・地震などの自然災害に対しての応急復旧などへの対応には地域における地元建設業の役割として会社を挙げて取り組んでいる。高速道路の路肩崩壊時には重機を派遣するなど、災害復旧協定をNEXCOと締結している。「地元で働き、地域に役立つ業種であることは地元就職の課題解決に少しは役立っているのではないか」と、働く意義を語っている。

従業員参加の地域清掃も20年継続して実施しているほか、ロータリークラブには現在86歳の先代と親子2代にわたって参加しているなど、地域とのさまざまな形での繋がりを大切にしている。

◆今後の展開
まず始めること

建設業(公共工事)は国交省の経営審査や自治体入札加点などに環境配慮や地域貢献がある。しかしながら、大島氏は「審査や加点に向けて、急にボランティア活動を始めたりするのは本末転倒である。メリットやインセンティブをまず求めるのではなく、「おかげさまで」の感謝の思いから自己満足でもよいのでまず始めることが大事なのではないか。これからもそのようにしてやっていきたい。」と力強く語った。

(ヒアリング実施日:2019年7月10日 ヒアリング協力:株式会社Green prop)

企業情報

会社名 株式会社大島組
会社設立日 1909年(明治42年)
代表取締役 大島 弘三
本社所在地 佐賀県鳥栖市養父町38番地
資本金 52,000,000円
事業内容 ・土木・建設工事の請負並びに企画設計及び管理
・舗装工事の請負並びに企画設計及び管理
・上・下水道工事及び水処理施設設計施工
・不動産の取得売買及び仲介
従業員数 50名
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