地域密着中小企業事例5

子の世のために出来ることを考え、挑戦し続ける。

株式会社KMTec

http://kmtec.jp/

「この先の世代にも続く健康な社会づくり」をテーマに環境設備品の開発から、調達・施工・販売までを手掛ける株式会社KMTec(ケイエムテック)は、2006年に代表取締役社長の久米祐介氏が佐賀大学在学中に創業した学生発ベンチャーだ。「子どもたちの世代にも残る技術・製品を開発する」という強い信念のもと、環境やエネルギー効率に配慮した事業に取り組み、地域連携にも力を入れる久米社長にお話を伺った。

ヒアリングから見えてきた気づき

地域に密着した中小企業の持続可能性向上に繋がる取り組みのポイント・必要とされるサポート

・地域の中小企業と大学の連携の不足を創業前から感じていた久米氏はこれを橋渡しできると面白いかもしれないと感じ、現在も地域との連携を積極的に行っているという。現在、産官学連携は各地で行われているが、SDGs時代においては、さらにさまざまな立場を超えた連携が求められる。

・中小企業支援の形について、販路を地域からさらに大きく拡大しようとする際には、地元の行政や金融機関の枠を超えた柔軟な仕組みも必要になる。また、表彰制度や認証については、制度の目的を明確にするとともに、受賞が各企業に与える効果も見ながら表彰制度の改善を図ることも重要だと考える。

SDGsとの連関

社会の課題を技術で解決しようとする製品開発や、環境やエネルギー効率に配慮した商品の開発、地域の中のコミュニティの情勢や次世代育成等、株式会社KMTecの事業はSDGsのゴール4、7、8、9、11、12、13、17などの達成に貢献する取り組みである

子の世のために出来ることを考え、挑戦し続ける。
 株式会社KMTec

◆創業からこれまで
この世は未来を生きる子供たちのためのもの

創業当時から、経営理念に「子の世のために出来ることを考え、挑戦し続ける。」を掲げるKMTec(ケイエムテック)は、2006年、代表取締役社長の久米祐介氏が佐賀大学在学時に創業された。当時はまだ産官学連携やIT企業・創業ベンチャーなども少なかったが、大学入学当初から起業に関心があったという。

ベンチャー志向の強い指導教員による佐賀大学ベンチャービジネスラボラトリーを通じて、地域の中小企業との繋がりが生まれ、省エネ照明の研究開発支援事業をきっかけに在学中に起業した。「この世は未来を生きる子どもたちのものである、子どもたちの世代に残る技術、製品を開発する」という強い信念のもと、現在は地域のニーズに応えるスマートインフラの製造・販売や、太陽光発電を活用した防災対策商品の開発など、持続可能な社会を目指した事業にチャレンジし続けている。

行動指針は創業当初から「Light Workを目指して!」。社会を明るく照らす事業に取り組みたいと、近年頻発する自然災害の被害に対して、技術で貢献できることはないかと考え続けていたという。2018年9月に発生した北海道地震による広範囲でのブラックアウトをニュースで見聞きし、巨大な発電・送電システムの脆さとコンパクトで個別化された発電インフラの必要性を痛感し、太陽光パネルによるモバイル発電装置の開発に至った。主として災害発生時のスマホの充電を目的とした持続可能な発電装置として、今後普及販売を進めていく予定である。すでに日本での普及販売に先行して、電気の供給インフラが未整備な途上国地域から、このモバイル発電に対する問い合わせが来ており、そのような地域に対しては、商品の提供のみならず、その地域の経済に資する導入の仕組みを考えていきたいと、久米氏は語る。

◆従業員に対する取り組み
夢に共感し、一緒に描ける人材を集めたい

「想いを人に伝え、共感してもらい、たくさんの人の支えがあってこそ、チャンスをつかむことができる。会社に対する信頼と人への信頼を大切にしていきたい。私に頼まれることは、私にこそ応えられることと捉え、課題を克服し目的を達成する方法を考えることに力を入れている。」と力強く語る久米氏。従業員とは会社の理念、将来像を共有したいと語り、夢に共感し、一緒に夢を描ける人材を集める努力を続ける中、最近久しぶりに新たな社員が仲間となった。

◆環境に対する取り組み
持続可能性への思い

現在、顧客の大半は官公庁と法人が占める。関東地方から沖縄までを営業範囲とし、海外(主に東南アジア)にも営業展開している。取り扱う製品は、廃棄の段階までをきちんと確認できる製品であることとし、100%リサイクル可能な製品であるかの確認も欠かさない。

省エネ商品の開発には2008年から着手し、2009年に開発した省エネ型蛍光灯「CCFL」は、消費電力の3割削減と寿命の5倍延長(従来の蛍光灯比)を実現した。「CCFL」は、これまでに佐賀市立図書館等の公的施設やハウステンボス、佐賀共栄銀行等に導入されている。

2018年11月には、佐賀県ベンチャー交流ネットワークの「さがラボチャレンジカップ2018」で上記の太陽光パネルによる災害時用ポータブル電源システムが最優秀賞を受賞するなど、その取り組みへの評価も高まっている。

◆地域・社会に対する取り組み
町おこし、村おこしでさらなる地域発展へ

久米氏はさまざまな地域のネットワークでも精力的に活動している。所属する佐賀県ベンチャー交流ネットワークでは、副会長として、創業支援や第2創業、新規事業支援などの会社のサポートなど、地域企業の発展を支援。佐賀県のさらなる発展には町おこし、村おこしや県内総生産の拡大がテーマになるとし、商工会での青少年育成や町おこし活動へのボランティアに参加し、汗を流す。母校の佐賀大学とは、毎年、共同研究契約を結び連携するほか、地域経済を盛り上げるためのベンチャー講座を通じて自らの経験や考えを伝え、後進の育成にも努めている。

◆今後の展開
投資家と起業家や経営者がもっと出会う仕組みを

中小企業を対象にした支援の形について、久米氏は「中小企業を対象にした認証や表彰制度にはさまざまな形があるが、広くピーアールするためだけでなく、何を目的としているのかを明確にし、それを実現するための副賞を用意すべき」と語った。加えて、「投資家と起業家や経営者が出会う仕組みがもっとあるといい。」と研究開発や販路拡大をしていく上での資金調達の在り方の変革を望んだ。

(ヒアリング実施日:2019年7月12日 ヒアリング協力:株式会社Green prop)

企業情報

会社名 株式会社KMTec(ケイエムテック)
会社設立日 平成18年6月12日
代表取締役 久米 祐介
本社所在地 佐賀県佐賀市兵庫北2丁目10-3
資本金 180万円
事業内容 ・真空環境事業(省エネ照明の開発・販売と施工事業)
・防災対策商品の開発・製造・販売
従業員数 3名
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