日に日に夏が近づいていますね。代表理事の古谷です。
今回の『ケースから考える「ビジネスと人権」ライブラリー』では、『「ことば」から考える人権』をテーマに取りあげます。
「これは何色?」と差し出されたクレヨンに、「肌色」と答え、「あっ、しまった!」と思った私。「肌色」はもうとっくに「うすだいだいいろ」や「ペールオレンジ」といった名称に変わっています。ご存知のように世界の人々は多様な肌色をしているのであり、特定の色を「肌色」とすることは、人々の固定観念を助長し、人種差別につながりかねないからと言われています。最近でも「はだいろ」の名称が付けられた肌着が回収された例、「美白」をうたう化粧品の販売が停止された例など「肌色」に関わる事例は数多く存在します。ちなみに、ほかにも名称が変わった例として、保母や保父が保育士に、看護婦や看護士が看護師に、議長を意味するchairmanがchairpersonに言い換えられた例もあります。
わたしたちは長い間の習慣や生活のなかで、自分がマジョリティのなかにいると、マイノリティの人を不快にさせたり、傷つけてしまうことに気づかないことがたくさんあります。差別の意識があるわけではないから問題ではないとか、言葉狩りだという人たちもいますが、それはマジョリティ側の言い分であり、嫌だと思う人がいるなら、傷ついている人々がいるなら、その声に耳を傾けて改善していくことが必要ではないかと思います。人権尊重の重要性が浸透していくにしたがって、あるいは身近に多様な人々がいることが認識されるにしたがって、今まで何気なく使っていたことばが社会問題化される例が増えています。多様な人々がそれぞれにかけがえのない存在として尊重されるために、「気づかない」を「気づく」にしていく努力をしていきたいものです。そして、その際に重要なことは、「ことば」によって苦しんでいる人々の思いや願いをくみ取って、その背景にある問題も「改善」していきたいですね。
『ケースから考える「ビジネスと人権」ライブラリー』、次回もお楽しみに。
ハンドブック『ケースから考える「ビジネスと人権」』
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