皆さま、こんにちは。サステナビリティコミュニケーターの梁井です。
CSOネットワークを取り巻く人やCSONJな人たちから見たCSOネットワークをご紹介するシリーズ「続・CSONJな人たち」の第3弾をお届けします。
今回は、CSOネットワークが日本におけるローカルパートナーとして、事業を行っている特定非営利活動法人アジア財団日本事務所(TAF)のプログラム・オフィサーとして活躍されている門元記子さんに担当されているプロジェクトの内容や、門元さんからみたCSOネットワークなどについてお伺いしました。どうぞご覧ください。
TAFでどんなことを担当していますか?
私は現在アジア財団(The Asia Foundation (TAF):本部米サンフランシスコ)日本事務所のプログラム・オフィサーとしてTAF本部の活動支援と共に日本事務所が関わっているプロジェクトの運営支援を行っています。また、TAFの活動を日本の皆様にも広く知っていただけるよう日本でのウェビナー開催も支援しています。TAFはアジア太平洋地域の人々の経済の活性化及び平和と繁栄を通して生活改善に寄与することを目的とした非営利の国際開発組織です。アジア18か国に支部・事務所とネットワークを設け、約800人の職員が働いています。日本では女性のエンパワメントの分野に力を入れており、現在はSTEM(科学、技術、工学、数学)領域での女性の活躍を推進するプロジェクトを準備中です。
現在取り組まれている女性のエンパワメント・プログラムとはどんなものですか?
TAFではWomen’s Empowerment and Gender Equality(女性のエンパワメントとジェンダー平等)を活動の1つの柱としており、アジア各地で以下4つの分野でその活動を推進しています。
- 女性の経済的な機会の拡大
- 女性の権利保障と安全
- 女性の政治参画促進
- ジェンダー平等
(詳しくは是非こちらをご覧ください。)
現在日本も関わっているSTEM領域における女性のエンパワメント・プログラムは、日本を含めアジア地域で活躍する若手の科学者、理数学研究者、エンジニア等のネットワーク強化を目的としています。この領域ではもともと女性が少ないことを背景に、多くの女性が悩みや課題を抱えながら挑戦しています。そこで、ネットワークを通して知識や技術のスキル・アップはもちろんですが、それぞれが直面している課題と向き合い、乗り越えながらリーダーシップが発揮できることを目標に支援しています。
これまでの門元さんのお仕事について教えてください。 これまでの門元さんのお仕事は現在のTAFでのお仕事にどうつながっていますか?
私は看護大学を卒業し、看護師として病院で働いた後に国際保健の分野に進み活動して参りました。これまでに経験した国はフィリピン、ジンバブエ、ソロモン諸島等があります。そこで社会に潜む様々な形の「不平等」を目の当たりにしてきました。人々の健康問題は様々な社会問題と連動していて、上述の女性のエンパワメントを含めたジェンダーに関連した課題もそうですが、貧困、環境、教育、経済、平和等とも密接に絡んでいます。TAFの業務ではこのような分野で世界とつながり、物事をマクロな視点で考えるきっかけを常に与えていただいています。
また、看護職としては現在一般社団法人Nurse for Nurseの代表理事としても活動をしています。そこでは看護職のキャリア開発支援事業を通してローカルおよびグローバルな社会課題解決を目指しています。TAFの業務を通じて看護職として保健分野だけを見るのではなく、国際開発の視点含め社会全体の課題を捉え行動することの重要性を感じています。今般の新型コロナウイルス感染症によるパンデミックでも明らかとなったように、人々の健康は社会活動のベースになるものと思います。2030年までの国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けどちらの活動も大事に取り組んで参りたいと思っています。
門元さんから見たCSOネットワークはどんな団体ですか?
TAF Japanの業務に関わらせていただきもうすぐ1年半が経ちますが、私は海外を拠点に仕事をさせていただいているので、実はCSOネットワークの皆様に直接お会いしたことが一度もありません。しかし、様々な形での情報共有、交流会等でお話をさせていただくなかで不思議なつながりを感じています。それはお一人おひとりが市民社会のため専門性を活かしプロフェショナルとして活動をされており、その姿勢が伝わってくるからだと思います。また、私自身CSOネットワークのミッション「公正で持続可能な社会に向けた価値ある取り組みを⾒出し、マルチステークホルダーの参画による社会課題解決を促す。」に共感しています。あらゆる社会課題に対して様々なステークホルダーと協働しながら取り組んでおられる姿は、複雑化している社会課題の解決になくてはならない重要なアプローチだと思います。
TAFの業務、CSOネットワークとの関わりを通じての新たに発見されたことなどあれば教えてください。
TAF Japanの業務は時差の関係で朝4時半に起きて5時からのミーティング、ということもありますが、社会を良くしたい、受益者のためにプロジェクトをより良くしたいという想いが込められた会議はいつも刺激的ですし、世界とつながっていることを実感できる貴重な時間でもあります。そして、様々な分野のプロフェショナルが揃い意見を出し合うなかで大変多くの気付きを得ることができています。看護職として保健分野に特化した活動をしてきた私にとって、「ビジネスと人権」や「環境問題と企業の責任」など社会課題の背景や根底にあるものの概念含め、いつも新しい発見の連続です。
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*CSOネットワーク事務局長 長谷川からのメッセージ*
TAFは、女性のエンパワメントや市民社会の醸成にその地域の状況に即して取り組み、その上で、アジア地域のネットワークを活かしてそのテーマの課題や知見を共有し、連携を力に変えるといった活動を展開しています。門元さんの、国際保健の活動で培われた広い視野と、事業を進める上での細やかな視点が、TAFの大切にしている、個別対応と連携を組み合わせたアプローチと共振していることを感じています。
引き続き、シリーズ「続・CSONJな人たち」では、CSOネットワークとともに様々な活動を行っている方々をご紹介していきたいと思っています。次回もどうぞお楽しみに!
プロフィール:
門元 記子(かどもと のりこ)
特定非営利活動法人アジア財団日本事務所 プログラム・オフィサー
看護師として病院勤務後に大学院へ進学し公衆衛生学修士号取得。国際保健の分野での活動を経て2021年よりアジア財団日本事務所勤務。
特定非営利活動法人アジア財団日本事務所(TAF)