皆さん、こんにちは。サステナビリティコミュニケーターの梁井です。
先日、ショッピングに出かけた際に「サステナブル」を謳った商品の展示を見かけました。さて、「サステナブルな商品」とはどんなものでしょうか??
2013年にバングラディッシュの首都ダッカ近郊で発生したラナ・プラザビルの崩壊の事故は、「ビジネスと人権」の課題を象徴する出来事として語られます。8階建てのビルには当時、5つの縫製工場が入っており、欧米の有名な衣料品ブランドが生産を委託していました。このビルには当時、3,500人を超える主に若い女性が過酷な労働環境のなか、働いていました。ビルは老朽化していた上に違法な増築もされており、非常に危険な環境でもあったそうです。そんな中、ビル崩壊事故が起こり、1,100名を超える方がお亡くなりになりました。この事故についてはメディアでも大きく取り上げられ、映画化もされました。この事故をきっかけに世界では生産委託をしていたブランド批判運動がおこり、ロンドンのアパレル企業の店舗前などでは不買運動が続きました。労働環境の危険性と労働条件の厳しさが問題視され、世界のアパレル企業220社が「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定」を結ぶことにもつながりました(*1)。現在、衣類や履物などのセクターでは、その産業特有のリスクを踏まえた詳細な手引書(*2)が作成されるなど、ビジネスを通じた人権侵害を予防・救済するための取り組みが世界各地に広がっています。
冒頭で触れた展示されていた商品は、リサイクル素材を活用し作られたものでしたが、「サステナブルな商品」を定義するのは素材だけではありません。商品が生み出される過程では、リサイクル素材の開発にかかわった人、リサイクル素材から生み出された商品を作った人など様々な「人」が存在します。環境への配慮だけでなく、商品が作られた過程、目の前に届くまで、そして手を離れた先まで、『かかわる「全ての人」にやさしい商品』こそが「サステナブルな商品」と言えるのではないでしょうか。
『ケースから考える「ビジネスと人権」ライブラリー』、次回もお楽しみに。
(参考)
*1:死者1000人以上の事故「ラナ・プラザの悲劇」から8年 労働環境の改善はまだ遠く(WWD Japan)
https://www.wwdjapan.com/articles/1213560
*2:OECD 衣類・履物セクターにおける責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンス・ガイダンス(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/business-jinken/index.html
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