編集・発行:一般財団法人CSOネットワーク(2017年4月1日)
SDGsにおける目標12である持続可能な生産と消費(いわゆるSCP)は、SDGsの中で最も特徴的な目標の一つと言われ、社会の生産と消費のあり方に変革を迫るものです。持続可能な公共調達(Sustainable Public Procurement:SPP)は、その目標12の重要な柱の一つとして位置付けられるものとなります。
2017年にはISO20400(持続可能な調達)が発行し、企業のサプライチェーン・マネジメントにおいても国際的な基準に基づいた、環境、社会、経済の持続可能性に配慮した調達が求められています。公的部門であろうと民間部門であろうと、調達に持続可能性を求める国際的な流れができていると言えます。日本の文脈においては、2020年東京オリンピック・パラリンピックの調達にも国際的関心が集まっています。2020年を契機として、東京都が持続可能な公共調達をレガシーとして継承し、それが基準となって日本各地の自治体にも主流化されていくことが期待されます。公的部門が調達するあらゆる物・サービスについて、環境、経済、社会の3側面から持続可能性を求める動きが加速している中で、公的部門におけるそれぞれの部署は、自らの文脈に合わせて優先度を決定し、調達政策・慣行を実施し、持続可能な社会への貢献度を自ら評価することも求められてきています。
【本報告書について】
本報告書では、主に以下の観点からSPPをレビューし、考察しています。
• SPPとは何か。なぜSPPをやる必要があるのか。
• SPPの実施手法・監理プロセスはどう進めるのか。
• 欧米などではどこまでSPPを実施しているのか。
• 日本の取り組みの現状はどうなっているか。
• 日本で主流化するには、どのような課題を検討し、克服する必要があるか。
CSOネットワークでは、SDGs実施元年にあたる2016年度より、3年間にわたる「持続可能な公共調達慣行の促進に向けた調査および指針の策定とその普及」事業を開始しています。本報告書は、その1年目の基礎的な成果をまとめたものとなります。
(調査報告書より抜粋)
目次
はじめに〜SDGs時代の持続可能な公共調達 1 今田 克司 (一財)CSOネットワーク代表理事 |
1. 持続可能な公共調達(SPP)とは何か 6 1.1 「持続可能な公共調達」の定義 6 1.2 持続可能な調達の便益 8 1.3 持続可能な調達の課題 9 【コラム】「持続可能な調達世界先進都市ネットワーク」 11 吉川 真珠美 一般社団法人イクレイ日本 プログラム・オフィサー |
2.持続可能な公共調達(SPP)実施とモニタリング 12 2.1 持続可能な調達の監理手法 12 2.2 持続可能な調達プロセスと主要セクター 14 2.3 持続可能な調達のモニタリング手法 15 |
3. 欧州・米国の取り組み事例 20 3.1 欧州の自治体の事例 20 【囲み解説】「欧州公共調達司令とライフサイクルコスティング」 26 冨田 秀実 ロイドレジスタージャパン取締役・事業開発部門長 3.2 社会的責任公共調達の事例〜人権の側面から 28 【囲み解説】「英国現代奴隷法改正案」 33 下田屋 毅 サステイナビジョン代表取締役 3.3 米国の事例 34 【コラム】「児童労働防止の取り組みと公共調達」 37 岩附 由香 特定非営利活動法人ACE代表 |
4.日本の動向 39 4.1 グリーン購入法(環境省) 39 【コラム】「グリーン購入の課題とSPPへの教訓」 41 中原 秀樹 (公財)地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェロー、東京都市大学名誉教授、国際グリーン購入ネットワーク(IGPN)会長 4.2 自治体のCSR推進と公共調達(横浜市) 42 【コラム】「自治体の公共調達における人権配慮」 46 松岡 秀紀 (一財)アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)特任研究員 4.3 その他の自治体の動き:公契約条例 47 【囲み解説】「2020年東京オリンピック・パラリンピックの調達」 48 黒田 かをり(一財)CSOネットワーク事務局長・理事 |
5.今後に向けて 49 5.1 日本政府の取り組みと課題 49 5.2 「持続可能な公共調達(SPP)フォーラム〜第1回SDGs時代における自治体の持続可能な公共調達の可能性」報告 53 【コラム】「ゆうきの里東和地域資源循環センターと新しい公共」 55 菅野 正寿 NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会 5.3 今後の課題:持続可能な公共調達の推進にはどうすればいいのか? 56 |