編集・発行:一般財団法人CSOネットワーク(2019年3月31日)
「持続可能な公共調達」(サステナブル・パブリック・プロキュアメント:SPP)とは何か?という問いについて、この3年間、国内外の様々な自治体関係者、有識者各位にご意見を伺い、調査・分析し、取りまとめた成果が、この「持続可能な地域社会のための公共調達ガイドブック–サステナブルな地域づくりと組織に求められる12の課題」です。
CSOネットワークでは、東日本大震災以降、地域の持続可能性に関する調査研究を進め、国内外の地域コミュニティへの訪問調査を踏まえて、2016年に、地域の力を評価し可視化する「地域の力診断ツール」を作成しました。この知見・経験をベースに、2016年度より、地方公共団体における調達と持続可能性を考える調査研究プロジェクトを開始し、環境だけではなく社会的側面を含む、いわゆる「持続可能な公共調達」のあり方を日本社会の文脈で模索してきました。
本ガイドブックでは、日本の地域の持続可能性の模索から出発し、「A. 持続可能な地域社会」「B.責任ある事業活動」「C. 環境」「D. 法令遵守・マネジメントシステム」の4本柱に分類されたSPPに必要とされる12課題、70の取り組み項目を、企業・組織に求められるサステナビリティ基準も含めて例示しています。加えて、有識者によるコラムや自治体へのインタビューを掲載し、SPPの考え方や事例をわかりやすく提示しています。セルフチェックリストもご活用いただければと思います。執筆いただいた多数の有識者の皆さま、これまでご助言・ご協力をいただいた皆さまに感謝しつつ、このガイドブックが少しでも日本の公共調達の持続可能性にヒントを与えるものとなることを願っています。
本ガイドブックの構成
◆はじめに
本ガイドブックの使い方、参考利用手順
◆ガイダンス
A持続可能な地域社会
(A1 地域経済への貢献、A2 地域社会への貢献、A3 人権)
B責任ある事業活動
(B1 労働、B2 安全衛生、B3 ビジネス倫理)
C 環境
(C1環境マネジメント、C2気候変動、C3 資源・廃棄物・汚染管理、C4 グリーン調達)
D 法令遵守・マネジメントシステム
(D1法令遵守、納税、D2マネジメントシステム)
◆有識者コラム
・「地域内循環経済と地域永続企業」
吉田 正博氏(一般社団法人永続的成長企業ネットワーク 代表理事)
・「SPPの経済効果、地域内経済循環の可能性について」
影山 摩子弥教授(横浜市立大学国際総合化学群比較社会システム論)
・「ビジネスと人権の側面からみた日本の公共調達」
高橋 大祐氏(弁護士)
・「公共調達における外国人労働者への配慮(技能実習生含む)」
下田屋 毅氏(一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン代表理事、Sustainavision Ltd.代表取締役)
・「「持続可能な公共調達」の現状」
武藤 博巳教授(法政大学大学院公共政策研究科)
・「環境ラベルを活用した地域・地球環境への配慮」
藤崎隆志氏((公財)日本環境協会 エコマーク事務局 事業推進課長)、小林弘幸氏((公財)日本環境協会 エコマーク事務局 主任)
◆自治体インタビュー
・京都府「京都府契約大綱」
・野田市「公契約条例」
・東京都「週休二日制確保、女性活躍モデル工事等」
・宇都宮市「もったいない運動」
◆自治体による取組み事例
「さいたま市CSRチャレンジ企業認定制度」
◆コラム
「オリンピック・パラリンピック競技大会と持続可能性」
黒田かをり(一般財団法人CSOネットワーク 事務局長・理事)
◆提言
◆セルフチェックリスト(SAQ)
A持続可能な地域社会
(A1 地域経済への貢献、A2 地域社会への貢献、A3 人権)
B責任ある事業活動
(B1 労働、B2 安全衛生、B3 ビジネス倫理)
◆巻末資料
・地域貢献や社会的責任に関する自治体独自の認証制度
・海外視察報告 EcoProcura2018
・デンマーク出張報告
・用語解説
・参考文献
・CSOネットワーク 持続可能な公共調達に関する調査報告書