調査報告書「公共調達・公契約条例と地域の持続可能性に関する全国自治体アンケート調査結果」

03.31


・調査報告書 「公共調達・公契約条例と地域の持続可能性に関する全国自治体アンケート調査結果」(2018/3/31)

編集・発行:一般財団法人 CSOネットワーク(2018年3月31日)


国連では2030年を主にターゲット年にした「持続可能な開発目標(SDGs)」が制定され、持続可能性(サステナビリティ)についての関心が高まりつつあります。その中でも、政府・自治体における公共調達における持続可能性への配慮が求められており、いわゆる「持続可能な公共調達」(Sustainable Public Procurement: SPP)が国際的にも関心を集めています。日本でもSDGsの実施、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて持続可能性に配慮した調達コードが作成されるなど、SPPへの関心が少しずつ高まってきているものの、その現状把握や研究はまだ緒に就いたばかりです。

日本の自治体の公共調達においては、総合評価一般競争入札における環境、福祉、男女共同参画、公正労働などの社会的価値を盛り込む動きが徐々に広がりつつあり、環境面ではグリーン購入法による取り組みも進みつつあります。また近年では、地域の持続可能性の観点から、入札における地域内企業への配慮も増加傾向にあるとされています。一方で、社会的価値を実現するものとして公共調達を政策の中に位置づける動きは、一部の自治体において始まったばかりで、「持続可能な公共調達(SPP)」を政府や自治体レベルで主流化する動きには未だなっていません。OECD平均でGDPの約12%を占めるといわれる公共調達をより持続可能な形にしていくことは、日本全体の持続可能性に資する課題でもあるといえるでしょう。

こうした問題意識から、全国の主要な自治体を対象に、公共調達に関する基礎的なアンケート調査を実施し、日本における「持続可能な公共調達(SPP)」の取り組み状況の把握を試みました。例えば、横浜市においては、「横浜型地域貢献企業」認定を受けた企業へのインセンティブ発注を行なう等の取り組みも出てきていますが、そうした地域の持続可能性に資する多様な試みを横断的にカバーすることもこの調査の目的の一つです。

アンケート回答に際しましては、質問が多岐にわたっていたために、様々な部署の皆さまのご協力を賜るとともに、当該部署の皆さまには、複数部署のご回答を丁寧にとりまとめていただきました。お問い合わせも多数いただき、調達の現場の皆さまからたくさんの学びをいただきました。お忙しい中から真摯にご協力くださった自治体の皆さまに心より御礼申し上げます。

本報告書では、自治体アンケートによる、日本の「持続可能な公共調達(SPP)」の現状提示に留まっていますが、今後は、調査結果の分析、先進事例の追跡ヒアリング調査などを実施し、「持続可能な公共調達(SPP)」推進の課題や展望について考察・提言をしていければと考えていますので、本報告書へのご意見・ご感想などございましたらご連絡いただければ幸いです。

(調査報告書 「公共調達・公契約条例と地域の持続可能性に関する全国自治体アンケート調査結果」より抜粋)

調査概要・報告書作成方針

調査概要
• 調査名:公共調達・公契約条例と地域の持続可能性に関する全国自治体アンケート調査
• 調査実施主体:一般財団法人CSOネットワーク
• 集計作業委託先:一般社団法人日本公共政策研究機構(JIPPS)
• 助成:独立行政法人環境再生機構 地球環境基金
• 調査期間:平成30年(2018年)2月 5日〜 3月15日
• 対象:全国都道府県、県庁所在地自治体・政令指定都市、公契約条例制定自治体
合計115自治体を対象に調査票を送付
• 回答自治体数:78自治体(回答率68%)
内訳 都道府県:33
市・区:45
• 回答方法:調査票(紙)郵送、ウェブアンケート、電子データ(MS Word、PDF)メール送付
• 質問票助言:北大路信郷 氏 明治大学専門職大学院ガバナンス研究科教授

報告書作成方針

今回の報告書作成にあたっては、日本における「持続可能な公共調達」のあり方を検討する上で必要な基礎的情報を取りまとめ、ベースラインを明らかとすることを目的に、本報告書を作成しました。公共調達・公契約条例と地域の持続可能性に関する7分野16項目(2. 調査項目を参照)への自治体の回答結果を簡潔に取りまとめております。多くの自治体より、制度・取り組みに関して自由記述回答による詳細な説明や参考資料を提供いただきましたが、本報告書では主な事例を中心に記載させていただきました。

回答自治体リスト
自治体名 部署 全78自治体

都道府県 33自治体
北海道 総務部 総務課
青森県 企画政策部 企画調整課
宮城県 震災復興・企画部 震災復興政策課、出納局契約課
福島県 総務部 入札監理課
茨城県 会計事務局 会計管理課
群馬県 総務部 総務課
埼玉県 産業労働部 産業労働政策課
千葉県 総合企画部 政策企画課
東京都 財務局 経理部 総務課 契約調整担当
神奈川県 政策局 政策部 総合政策課
新潟県 産業労働観光部 労政雇用課
山梨県 総合政策部 政策企画課
長野県 会計局 契約検査課
岐阜県 出納管理課
三重県 総務部 行財政改革推進課
滋賀県 会計管理局 管理課
京都府 総務部 入札課
大阪府 総務部 契約局 総務委託物品課
奈良県 会計局 総務課
和歌山県 政策審議課
鳥取県 会計管理者 会計局 会計指導課
島根県 政策企画監室
岡山県 総務部 行政改革推進室
広島県 総務局 業務プロセス改革課
山口県 総合企画部 政策企画課
徳島県 総合政策課
香川県 政策部 政策課
愛媛県 土木部 土木管理局 土木管理課
福岡県 総務部 財産活用課
佐賀県 政策課
長崎県 出納局 会計課
大分県 商工労働部 雇用労働政策課
宮崎県 総合政策部 総合政策課

県庁所在地・政令指定都市 37自治体
札幌市 まちづくり政策局 政策企画部 企画課
青森市 総務部 契約課
盛岡市 市長公室 企画調整課
仙台市 まちづくり政策局 政策企画課
秋田市 総務部契約課
水戸市 財務部 契約検査課
宇都宮市 理財部 契約課
前橋市 総務部 契約監理課
さいたま市  経済局 商工観光部 経済政策課
千葉市 財政局 資産経営部 契約課 他2課
新宿区 総務部 契約管財課
横浜市 財政局 契約第一課
川崎市 財政局 資産管理部 契約課
相模原市 企画財政局 財務部 契約課
新潟市 総務部 行政経営課
金沢市 管理課
福井市 総務部 総合政策課
岐阜市 行政部 契約課
津市 総務部 調達契約課
大阪市 契約管財局 契約部 契約制度課
堺市 財政局契約部契約課、調達課
神戸市 行財政局 総務部総務課
奈良市 会計契約部 契約課
鳥取市 総務部 検査契約課
松江市 財政部 契約検査課
岡山市 財政局 契約課
広島市 財政局 契約部 物品契約課
山口市 総合政策部 企画経営課
徳島市 企画政策課
高松市 契約監理課
福岡市 総務企画局 企画調整部
佐賀市 総務部 契約整理課
長崎市 企画財政部 都市経営室
宮崎市 総務部 契約課
鹿児島市 企画財政局 財政部 契約課
那覇市 総務部 法制契約課
A市

公契約条例自治体 8自治体
野田市 総務部 管財課
我孫子市 総務部 総務課 契約検査室
草加市 総務部 契約課
越谷市 総務部 契約課
足立区 総務部 契約課 工事契約係
世田谷区 政策経営部 政策企画課
三木市 管財課
加西市 総務部管財課

*上記担当部署には、各部署からの回答の取りまとめ窓口を含みます。
*A市は、自治体名非公開を希望されたため、このように表記しております。
以上

目次

目 次

  1. 本調査の実施概要 2
    (1)調査の背景・目的
    (2)調査概要
    (3)報告書の作成方針
    (4)回答自治体リスト
  2. 調査項目 7
  3. 調査結果概要 8
  4. 各設問の調査結果 14
  5. おわりに~今後の調査課題 57

全文ダウンロードはこちらから。

(2018年6月1日 第2版)

 

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