【2012年8月7日 ブリュッセル(ベルギー)発】Beyond 2015(※1)は、「ポスト2015年開発アジェンダへの提言を行うハイレベルパネル」の発表を歓迎する一方で、貧困下に生きる人々の視点を優先させる新たな開発目標の策定にどこまで貢献するのか、疑問視せざるを得ないとする声明を発表した。
Beyond 2015執行委員会の声明文は以下のとおり。
Beyond 2015から推薦されたグラサ・マシェル(Graça Machel)氏をはじめ、市民社会での確固たる活動歴がある2名がハイレベルパネルに名を連ねたことを歓迎する。一方で、政府関係者が全体の3分の2を占めるメンバー構成をみると、市民社会には真のパートナーシップが提示されたわけではなく、単に存在を認知されたに過ぎないという懸念がある。
多くのハイレベルパネルメンバーは国際援助を専門としている。このハイレベルパネルには、すべての国々の共同責任を求める、大胆かつ実効性のある開発アジェンダ構築に向けた提言が求められるが、これまでの「援助」の延長線でよしとしてしまう懸念は大きい。私たちは、格差、人権、持続可能な開発、責任ある民間セクターの協力を議論の中心に据えること、また、政策の一貫性を最大限に追求することを同パネルに求める。新たな開発課題を認識するだけでなく、それらに取り組むための新たな手段を手に入れなければ、解決へ向けた前進はみられないであろう。
ハイレベルパネルの発表において特に残念な点は、貧困下に生きる人々を、今後の国際開発の議論における重要なステークホルダーとして、明確に認識しなかったことだ。今後の幅広い議論の積み上げの重要性については言及されているが、「ローカル・コミュニティ」は、議論の対象者の最後に加えられているにすぎない。ハイレベルパネル内の学識者の専門性が経済学に限られる中で、貧しい人々やコミュニティが直面している日々の現実を、このパネルが信頼に足る情報としてくみ上げることができるのかどうか、問わざるを得ない。
課題はあるにせよ、Beyond 2015はハイレベルパネルと協働していく用意がある。このような広範囲にわたるアジェンダの構築という機会はめったに訪れるものでなく、未来の世代にも影響を及ぼす。私たちは、ハイレベルパネルメンバーがこの機会を捉え、公正、公平かつ持続可能な世界のために奮闘するすべての人々と協力し、未来像を描くことを強く求める。
※1 Beyond 2015は、世界80ヵ国、379の市民社会組織(CSO)が 加盟する、2015年以降の国際開発アジェンダ構築に向けて国連等との協議を推進し、市民の意識喚起につとめるキャンペーン。執行委員会は途上国および先進国の市民社会代表各6人、合計12人から構成される。
▼声明文原文はこちら(英語)
Beyond 2015 press release on High-level Panel announcement
http://www.beyond2015.org/news/beyond-2015-press-release-high-level-panel-announcement
出典:Beyond 2015
原題:Beyond 2015 press release on High-level Panel announcement
URL:http://www.beyond2015.org/news/beyond-2015-press-release-high-level-panel-announcement