【2015年4月24日 ニューヨーク(米国)発】2015年4月21日〜24日に、ニューヨークの国連本部にて持続可能な開発目標(SDGs)の「実施手段、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップ」に関する政府間交渉が開催された。この会合は、7月にアディスアベバ(エチオピア)で開催が予定される開発資金に関する第三回国際会議(The third International Conference on Financing for Development=FfD3)に向けた準備会合との共通会合として行われた。これは、FfD3が取り扱う「開発資金」がSDGsをどのように実施するかと大きく関係するためだ。
4日間にわたる議論では、SDGs検討プロセスとFfD3の関連性や双方の成果文書における一貫性や重要な言葉の定義などが主な議題として取り扱われた。
両プロセスの関連性については、先進国と途上国で見解の相違が見られた。多くの先進国が支持する「FfD3の合意内容はSDGsの実施手段に組み込まれるべき」という主張に対して、途上国側は「合意内容が不明な現状では結論は出せない」などの理由でこれに反対。また、G77+中国グループからは「両プロセスは別々に進められるべきだ。SDGsの実施手段がFfD3の討議内容を上回るべきなのに、FfD3の討議内容がSDGsのそれを上回ってしまっている」との発言も聞かれた。
両プロセスに共通する「グローバル・パートナーシップ」「普遍性(universality)」などのキーワードに関する議論でも、先進国と途上国の対立が目立った。「グローバル・パートナーシップ」については、カナダが「連帯を示す根本的な理念」だとする一方で、途上国側は「北と南の協力、そしてコミットメント」が中心に置かれるべきだと異なる見解を示した。「普遍性」については、英国が「すべての関係者が責任を負うべきだ」とする一方で、インドは「先進国と途上国の違いは事実として存在する。責任には差異が設けられるべきだ」と、モントレー・コンセンサス(2002年)とドーハ宣言(2008年)で合意された「共通だが差異ある責任」に基づく応分の負担が必要と主張した。
SDGsが掲げる野心的な目標は、開発資金をはじめとする資源の動員に対する高いコミットメントがあってこそ実現可能となる。先週開催された国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合では、SDGs達成のためには、従来のODA中心主義から民間セクターによるビジネスや投資、南南協力など全ての資金源を動員する形へと開発資金のあり方を転換し、1兆米ドル単位を効果的に運用する必要があるとの合意がなされた。
求められているのは、交渉や成果文書の形式あるいは内容、ポストMDGs開発アジェンダとFfDの関係性の整理ではない。いみじくも会合のある参加者はこう語った。「SDGsの実施に関して国連加盟国間でどのような合意がなされようとも、国際社会は貧困の終焉と持続可能な開発のために資金を動員しなければならない」。
今後は両プロセスでの議論が継続され、5月に最新文書がそれぞれ提出される見込みだ。
出典:International Institute for Sustainable Development (IISD)
原題:Fourth Session of the Post-2015 Intergovernmental Negotiations (Means of Implementation and Global Partnership for Sustainable Development)
URL:http://www.iisd.ca/post2015/in4/