先進国と途上国の対立がより鮮明に 民間のシンクタンクがSDGsの議論を分析

07.18


1407_owganalyse【2014年5月 神奈川発】民間のシンクタンク地球環境戦略研究機関(IGES)は、持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループ(Open Working Group on Sustainable Development Goal=OWG)における議論を分析した報告書「持続可能な開発目標(SDGs)に関する国際動向:オープン・ワーキング・グループ(OWG)における各国ポジションの整理」を発表した。

分析は、2014年4月時点でのOWGにおける議論をふまえて、2014年2月に発表された19の分野の中で報告書の執筆者が特に重要と考えるテーマを対象に行われた。分析の結果、今後の政府間交渉プロセスにおいて、主に環境関連の議論をリードあるいは反対することが予想される国、また、意見や立場の類似したグループや国際機関、研究グループなどの立ち位置が明らかになった。

IGESは分析の結果を次のようにまとめている。

  • 貧困削減が全体に関わる目標であること、SDGsを議論する上で分野間の連関を検討せざるを得ないことについてはおおよそ合意されている。
  • SDGsの全体的な設計、各分野の目標・ターゲット・指標設定のあり方、既存の合意目標との関係性については各分野での合意に達していない。
  • 先進国と途上国、いわゆる南北対立の構図が存在する。これは各国が利益を主張し始めたためで、特に持続可能な消費と生産や、ガバナンスの分野で溝が大きい。
  • SDGsは法的な拘束力を持たないため、実施手段を目標・ターゲットに盛り込むべきという意見も多い。
  • 先進国と途上国間での取り引きについて。気候変動交渉でも同様の構図が見られるが、OWGはテーマ別に多くの分野に関する議論を行う。したがって、気候変動交渉と比べて、先進国と途上国間での取り引きの余地が大きくなる。どのように各国が国益を主張し、その一方で協調していくのか、また、どのような分野で妥協するのか、今後の成り行きが注目される。

報告書はIGESのホームページから無料でダウンロードできる。

▼持続可能な開発目標(SDGs)に関する国際動向:オープン・ワーキング・グループ(OWG)における各国ポジションの整理はこちら
http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/upload/5354/attach/SDGs_Discussion_Paper1_jp_201405_final_rev.pdf

出典:公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
原題:持続可能な開発目標(SDGs)に関する国際動向:オープン・ワーキング・グループ(OWG)における各国ポジションの整理
URL:http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/view.php?docid=5354

ページ上部へ戻る