【2015年6月22日 ニューヨーク(米国)発】2015年6月22日〜25日に、ニューヨークの国連本部にて持続可能な開発目標(SDGs)の「成果文書」に関する政府間交渉が開催された。
本会合では、去る6月2日に公開されたポスト2015年開発アジェンダの草案(ゼロ・ドラフト)「2030年までに私たちの世界を転換する:グローバル・アクションのための新アジェンダ(Transforming our world by 2030: A new agenda for global action)」についての議論がなされた。
根強い意見の対立
会合では、途上国と先進国間の隔たりが改めて浮き彫りとなった。
ゼロ・ドラフトの前文では、17個の目標案から9つが引用されている。これについて途上国から、「いくつかの目標が強調されると、それ以外の目標の重要性が相対的に低く見えてしまう。削除すべきだ」との提案があった。これに対して主に先進国は、「目標を多くの人に伝えていく上で前文は重要だ」と発言した。
共同議長はゼロ・ドラフトの中で、オープン・ワーキング・グループ(OWG)案で数値目標が未設定だった複数の目標やターゲットについて、既存の国際公約などに基づく数値目標を提案している。
この提案に対しては、「議長提案を歓迎する」(主に先進国)、「相互に関連する目標をパッケージと考えてこれまで議論を進めてきた。一部の修正は好ましくない」「提案の一部は支持する」(共に途上国)と複数の意見があり、事態は複雑だ。
実施手段(Means of implementation)についても、各国政府間での隔たりが見られた。「第3回開発資金国際会議(FfD3)での議論がSDGs実施の軸となる」という多くの先進国の見解に対して、途上国側は「FfD3の合意はSDGsの実施を補完するものであって、軸ではない」と主張。
また、フォローアップやモニタリングについても「SDGsとFfD3を共に行う」(先進国)、「SDGsとFfD3を個別に行う」「SDGsの下にFfD3が入る」(共に途上国)と意見は一致を見ていない。
ウィンウィンとなる合意に到達できるか
このままポストMDGs開発アジェンダを巡る議論は、どちらか一方が得をすると他方が損をするゼロサム・ゲームに突入してしまうのだろうか。
過去の政府間会合で度々取り上げられた文言「共通だが差異ある責任(Common but differentiated responsibilities)」を巡っては、インドの主導で落とし所を探る建設的な議論が行われる場面も見られた。
9月のポストMDGsサミットではこのように、各国政府が納得し、相乗効果を生み出す形で目標が採択されることが期待される。
7月20〜24日、27〜31日(10日間)に開催される次回会合を経て、「成果文書」の草案(ドラフト)が採択される見込みだ。
出典:International Institute for Sustainable Development (IISD)
原題:Summary of the Sixth Session Of the Intergovernmental Negotiation Process on the Post-2015 Development Agenda
URL:http://www.iisd.ca/vol32/enb3219e.html